臆病な背中で恋をした
5-2
新年会のスタートから約3時間。午後3時頃になって中締めになった。各自で2次会も良し、帰宅も良し。場慣れしてなくて疲れたし自分も早速帰ろうと、結局最後まで隣りにいてくれた津田さんにお礼を言う。
「あのそれじゃ・・・わたし帰ります。今日はお世話になりました。お先に失礼します」
会場を出たところでペコリと頭を下げ、ロビーに向かおうとすると。
「あんたはこっち」
何故か、立てた親指で反対側のエレベーターを差し示された。
「?」
「言ったろ。預り物を返却するまでが俺の仕事だ」
こっちの返事は訊かずに躊躇なく歩き出す彼。
言われた意味は何となく理解できたものの、ココロの準備は白紙状態でエレベーターに乗り込んだわたし。
ナオと会った夜のこととか、あの時、亮ちゃんが言いかけたこととか。話したいし、訊きたい。・・・けど。
手を伸ばそうとすると離れていってしまいそうで。
何も考えなくてもお互いの手を取れた、あの頃とは違うんだって。少し悲しくて寂しくて。大人になるのは切ないって・・・思った。
「あのそれじゃ・・・わたし帰ります。今日はお世話になりました。お先に失礼します」
会場を出たところでペコリと頭を下げ、ロビーに向かおうとすると。
「あんたはこっち」
何故か、立てた親指で反対側のエレベーターを差し示された。
「?」
「言ったろ。預り物を返却するまでが俺の仕事だ」
こっちの返事は訊かずに躊躇なく歩き出す彼。
言われた意味は何となく理解できたものの、ココロの準備は白紙状態でエレベーターに乗り込んだわたし。
ナオと会った夜のこととか、あの時、亮ちゃんが言いかけたこととか。話したいし、訊きたい。・・・けど。
手を伸ばそうとすると離れていってしまいそうで。
何も考えなくてもお互いの手を取れた、あの頃とは違うんだって。少し悲しくて寂しくて。大人になるのは切ないって・・・思った。