臆病な背中で恋をした
今年も桜は入学式を待たずに満開を迎えた。薄紅色の花びらが零れるように。儚くはらはらと散る。今ごろ亮ちゃんはどこでどんな季節を・・・迎えているの。冷たい冬を越えて。
時間だけ規則正しく流れてく。それを追いかけているのか。・・・引き摺られているのか。ちゃんとその上を歩けているのか、まだよく分からない。
わたしは変わらずグランド・グローバルで仕事を続けている。社長室付きの室長は、秋原さんという人が代理をしていて、あれから社長とも会う機会もないまま。一度だけエントランスで見かけて目が合ったきり。
津田さんとは課も違うし、仕事上でも接点はないけど。帰りの天気が悪い日に車で送ってもらったり。召(よ)んでもないのに出て来る、アラジンのランプの精みたいな人だなぁって、時々思う。
週末は必ず亮ちゃんの部屋で過ごす。空気を入れ替え、軽く掃除をして。夜は亮ちゃんのシャツをパジャマに一人ベッドで眠る。一晩中、リビングの灯りは点けたまま。わたしはここにいるって灯台代わりに、・・・目印に。
時間だけ規則正しく流れてく。それを追いかけているのか。・・・引き摺られているのか。ちゃんとその上を歩けているのか、まだよく分からない。
わたしは変わらずグランド・グローバルで仕事を続けている。社長室付きの室長は、秋原さんという人が代理をしていて、あれから社長とも会う機会もないまま。一度だけエントランスで見かけて目が合ったきり。
津田さんとは課も違うし、仕事上でも接点はないけど。帰りの天気が悪い日に車で送ってもらったり。召(よ)んでもないのに出て来る、アラジンのランプの精みたいな人だなぁって、時々思う。
週末は必ず亮ちゃんの部屋で過ごす。空気を入れ替え、軽く掃除をして。夜は亮ちゃんのシャツをパジャマに一人ベッドで眠る。一晩中、リビングの灯りは点けたまま。わたしはここにいるって灯台代わりに、・・・目印に。