恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
言い終わると同時、飛龍は鳴鈴の背中を抱き、逃げられないように後頭部を押さえ、再度鳴鈴の口を自らの唇で塞ぐ。
緊張と驚きで爆発しそうな胸が、飛龍の胸板に押し付けられた。
鳴鈴はどうしていいかわからないまま、飛龍に身を任せる。何度も啄み、押し付けられ、包みこまれる。
深く息を吸いたくなって、口を開けた瞬間、飛龍が忍び込んできた。
思いがけず深く重なった唇に、翻弄される。
(気持ちいい……)
今までも二度、薬を飲まされたり人工呼吸をされたりしたが、ちゃんとした口づけは初めて。
恋焦がれた飛龍の口づけに、身も心も蕩けてしまいそうになる。
けれど、胸の中ではなにかが引っかかっていた。その答えを出したとき、飛龍が鳴鈴の唇を解放した。
「……務めだなんて、おっしゃらないで」
鳴鈴は自然と潤む瞳を飛龍に向けた。
口づけもそれ以上も、飛龍が無理をして、「これは務めだ」と思われていたら、悲しい。