恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「バカを言うな。こんなに可愛い妃を一度抱いたくらいで死ねるか」
妃の思惑とは反対に、飛龍は別れを否定する。そして、そっと口づけた。
「お前が欲しい。お前が俺のものだという証が」
「殿下……」
「本当に嫌なら、今言ってくれ」
飛龍の顔からはいつの間にか笑みが消えていた。切れ長の瞳で見つめられ、鳴鈴も覚悟を決めた。
目を伏せてこくりとうなずく。するとそれを合図にしたように、飛龍が彼女の体を抱き上げた。
片手で鳴鈴の体を支えたまま飛龍が閨に続く戸を開ける。用意された褥が蝋燭の仄かな灯りに浮かび上がる。横にされると、鳴鈴の胸は高波のように揺れた。
「愛している」
ひとつ口づけ、飛龍は自ら衣を脱ぎ捨てた。初めて見る彼のしなやかな肢体から、鳴鈴は思わず目を逸らした。眩しすぎて、直視できない。
飛龍は構わず、目をそらす鳴鈴の口を塞いだ。その甘さを確かめながら、彼女の帯を解く。
しゅるりという衣擦れの音に、鳴鈴は耳を塞ぎたくなったが、それは許されなかった。
飛龍の舌が彼女の耳を刺激する。大きな手が衣の中に滑り込み、大きく襟を割った。