恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
ただ鳴鈴はずっと、飛龍の気持ちがわからなくて不安だった。それが小さな塊となり、ずっと彼女の喉の奥につかえていた。
「俺の妃は世界一の泣き虫だ」
飛龍が笑い、彼女の額に口づけを落とす。彼はその涙が悲しみで浮かんでいるのではないことを、わかっていた。
鳴鈴は力いっぱい、飛龍の肩に手を伸ばして抱きついた。
恥ずかしさも、躊躇いも、少しの恐れも、飛龍の温かさが吹き飛ばしてくれる。
(このまま離れたくない)
やっと飛龍と繋がったときには、ぽろぽろと涙が零れていた。
(これが最後になりませんように)
祈りながら、より強い力で飛龍にしがみつく。飛龍もまた、鳴鈴をきつく抱きしめた。