恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
貮・処女妻ですが、なにか
それから三か月、飛龍と鳴鈴の婚約は破棄されることなく、準備は順調に進んでいた。
しかし、徐家に飛龍が現れたのは両親に挨拶に来たたったの一回(しかも超事務的で鳴鈴と話もせずに帰ってしまった)で、あとは使いの者しか出入りしなかった。
「あなたって、可哀想ね。きっと苦労するわよ」
婚儀の前に遊びに来てくれた宇春が干し柿を齧りながらそんなことを言う。
「わかってるから言わないで……」
自分で飛龍のもとに嫁ぐと決めたのに、準備すればするほど不安が募ってきた鳴鈴である。
興味も持ってもらえないのは悲しい。自分が子供っぽいせいかと思い、胸が大きくなるという人参や牛乳、運動まで試してみたけれど、さして効果はない。
年上の夫に好かれるにはどうしたらいいのか。悩んでも答えは出ない。
「星稜王殿下はだいぶ年上だし、今はどう扱っていいかわからないのかもね。意外に幼妻を可愛がってくれたりして~」
ツンツンと鳴鈴の肩をつついて慰めてくれる宇春。
ちなみに彼女は、以前の重陽節の成果が出て、見事第三皇子との縁談が決まりつつあるとか。
「だと、いいんだけどね」
そうして婚前憂鬱症に陥ってしまった鳴鈴は、不安満載のまま飛龍に嫁ぐ日を迎えてしまった。