恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
飛龍に抱かれながら、鳴鈴は夢を見る。
前後に宝石でできた簾がついた冕冠(ベンカン)を着けた飛龍が、小さな赤子を膝に乗せている。
争いのない平和で美しい国。暖かい庭で、何人もの子供が駆けまわる。
ひとりで生きていこうと思っていた飛龍が、にぎやかな家族に囲まれていた。
鳴鈴は飛龍のため、笛を吹く。その音に子供たちも笑顔になる。
とても温かく幸せな夢は、眠る鳴鈴の目じりから、一粒雫を落とさせた。
飛龍は彼女の頬に口づけ、透明な雫をすくう。
彼もまた幸せな気持ちで眠りについた。
【end】