恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

会話の中心はやはり子供たちのことで、それが当たり前だと思っていた。でも、鳴鈴にはそれが不満だったようだ。

「そんなつもりはなかった」

子供さえ生んで育ててくれれば、あとは用なし。そんな風に思ったことはない。

「俺の言葉が足りなかった。すまない、鳴鈴」

飛龍は熱っぽい鳴鈴の唇を、自らの唇で塞いだ。

「お前は今でも、俺の可愛い妃だ。そうでなければ、四人も子供に恵まれるはずないだろう?」

言い聞かせるように囁くと、鳴鈴は膨らませていた頬から空気を抜く。

「……また、同衾してくださいます?」

「当たり前だ。というか、そんなことを言うと、今襲うぞ。双子の妊娠中から我慢しているんだから」

双子が生まれて、まだ半年経っていない。明らかに疲れている鳴鈴に同衾を求めるのは躊躇われた。

しかし鳴鈴がその気なら、飛龍が遠慮する理由はない。

「我慢……そうですか」

へへ、と鳴鈴は笑った。心から安堵したような笑みを浮かべた彼女は、飛龍の胸にもたれかかる。

「ん?」

ずしりと鳴鈴の体が重くなった。不思議に思って彼女を横抱きにする。と、鳴鈴のまぶたはしっかり閉じられており、小さな唇から規則的な寝息が聞こえてきた。

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