一通の手紙
ポロポロと涙が流れてきた。

記憶にはないのに。

悲しさが、胸の中で湧き上がってくる。

こんな、経験したことないと思っていた。

でも、それは…

俺が忘れていただけのことで、
みんなは覚えている。

なんとも言えない感情のまま

俺は眠りについた。

次の日、いつも通り出勤するために

駅まで歩いていった。

ビューンッ

(あっぶねーな。あのバイク。

ドンッ

俺の前で、バイクと人がぶつかった。

その瞬間、俺の中にずっと閉じこもってた記憶が
一気に溢れ出した。

ぐるぐると頭の中にめぐるのは、カレンとの記憶。

そして、お葬式から1週間たった時に

バイク事故にあった俺の姿だった。

目の前で事故が起こり、慌てふためく周りの人々と
逆に俺は、そこから動かずに止まることを知らない
涙を流してた。

やっと…やっと…

思い出せた…。

カレンとの記憶…忘れちゃいけない想い…

カレン、ごめんな…

忘れていてごめんな…。

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