一通の手紙
「どうも…。
久しぶりです…。」

そんな、ぎこちない俺と龍に

「上がって上がって!」とカレンの母親は
言った。

リビングまで上げられて

そのままテーブルの椅子に座らせてもらった。

「あの、俺…。」

「大丈夫よ…。何も言わなくても。
お葬式の後に、事故で記憶がないこと
聞いわ。」

「はい。
でも、やっと思い出せたんです。
カレンとのこと。」

「そう…。良かったわ。
カレンもきっと喜んでいるわ。」

「はい。
お線香あげさせてもらってもいいですか?」

「ええ。いいわよ。」

かれんの仏壇の前に俺は正座して

線香をあげた。

カレン…思い出せたよ…。
もう、忘れはしない…。
そして、ちゃんとカレンの分も
幸せになるよ…。

俺は仏壇の前で、ポロポロと涙を流した…

龍に背中をさすられ、カレンの母親に
見守られて。
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