あなたで溢れている
ふいに、夏井が首をクイッとした。
その方を見ると、他のグループが見えて男達が何やら鞄から取り出してお酒に混ぜているのが見えた。
ヤベ〜ことしてんのか?
「なにしてんだ?」
「酔わせて〜んじゃね〜の?モテない男って怖ぇ〜ことすんな」
夏井が鼻で笑った。
「師匠。他の子に靡かないなんてサスガッス」
と唐突にポメ子に褒められて、そのグループから目を戻した。
「つうか〜、腕見てみ。林以外の女子に触られたりすると鳥肌立ってるから〜」
更に夏井が余計なことを教える、
「マジで?」
ベッタリグロスが腕を取り摩ってきた。
「おぉ、おぉ。本当だ」
横で見ているポメ子がうるさい。
「離せって」
もがいていると。
また、フワッと英里奈の香りがして…鼻をスンスンと鳴らした…のを見られていたようで…
「…お前は病気だ」
と夏井が可哀想な子とハの字眉して肩をポンと叩いた。