あなたで溢れている
キスされなくて良かったと安堵の溜息が漏れたと同時に、
トン‼︎
と、英里奈が俺の胸を押して離れた。
…はじめての拒絶…
俺の腕を拒んだ…
「なんで、英里奈」
悲しくなった。
「…ごめん」
謝り俯いてしまった英里奈を見つめる。
「…」
「…」
「っん〜」
下からの声に顔を向けると、蹴った男が起き上がっているところだった。
「なにしやがんだ⁉︎」
他の男達ががすごんできた、が。
英里奈に嫌な思いをさせてお前らが悪い、と、俺はまた蹴る体制に整えてた。
「は〜い、そこまで〜」
この場にそぐわないマヌケな声が聞こえて、気持ちがなよっていった。