あなたで溢れている


キスされなくて良かったと安堵の溜息が漏れたと同時に、
トン‼︎
と、英里奈が俺の胸を押して離れた。

…はじめての拒絶…
俺の腕を拒んだ…

「なんで、英里奈」

悲しくなった。

「…ごめん」

謝り俯いてしまった英里奈を見つめる。

「…」

「…」





「っん〜」

下からの声に顔を向けると、蹴った男が起き上がっているところだった。

「なにしやがんだ⁉︎」

他の男達ががすごんできた、が。
英里奈に嫌な思いをさせてお前らが悪い、と、俺はまた蹴る体制に整えてた。

「は〜い、そこまで〜」

この場にそぐわないマヌケな声が聞こえて、気持ちがなよっていった。
< 22 / 43 >

この作品をシェア

pagetop