あなたで溢れている

「なななんだよ‼︎」

男達が騒いでいる。

「えっとですね…ちょっと失礼します。酒に入れてたのって〜…あった、コレコレ」

声の主は勿論夏井で。
男達の鞄に手を入れて何かをガチャガチャ取り出していた。

「ふ〜ん。ラムにジニにウォッカね〜。泥酔させといて連れ込んで?ほ〜。準強姦罪ってとこですかね?」

夏井はボソッと言うと、続けて、

「大学の品位に欠けるから、先生、マジヤメテもらっていいですか〜」

とケラケラ笑った。

「あ‼︎」

声を上げた相手は確かにうちの大学の人間だった。
そりゃ見たことのある顔のはずだ。

俺達をみるなりそそくさと退散していく姿に怒りが沸沸と湧き上がってきた。
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