あなたで溢れている

「ッンゥ」

どこで息をしていいのか分からない。
舌が慣れない熱さのものを吸い取る。

静かな空間…
口腔音と荒い息遣いだけが響く。

足りない…
英里奈の、全部が欲しい…

力の抜けた身体を支える。

英里奈の首筋に舌を這わせると、小さく震えたのが分かった。
ボタンを外すことももどかしく…
小さな突起を探した。

「ッンア」

英里奈のはじめての声を聞いた。

女の声だ。
恋人でしか聞けない声だ。

「…英里奈…可愛い…もっと、もっと、聞かせて」

本能的に指先が分かっているかのように身体を探す…
密の中で泳ぐ。

英里奈の身体が跳ねる。
水音は激しく鳴り響く。



俺は英里奈しかみえなくなった


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