あなたで溢れている
2、まったり


トトントントン。
2人の合図でドアを叩く。

シャワーから出たての英里奈が出迎えてくれる。

「おかえり」

帰ってきてることを確認する為、隣の俺の部屋に行く前に挨拶をする。

「…俺もシャワー浴びてくるわ」

自分の部屋に入り、深呼吸をする。
毎回、無防備な姿で扉を開けてくる英里奈。
俺は安全だと思われてるんだろうな…
俺も男なんだけどな…
モヤモヤ、そして、イライラ、する。



保育士になる為、短大近くに越した英里奈。
心配なのは勿論、離れたくない想いから…
幼馴染みというのを巧みに利用し、隣同士に部屋を借りた。
兄貴にも、兄貴の親友で英里奈の兄、正巳(マサミ)さんにも、俺の気持ちはバレていた。
『英里奈への変な虫はお前だ』と責められたが、用心棒という形でどうにか許可をもらった。
ただし『英里奈を守れよ‼︎ ぜってぇ泣かせんじゃねぇぞ‼︎ もし泣かせたらどうなるか分かってんだろうな‼︎』と脅迫されたことは、英里奈には秘密にしてある。
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