あなたで溢れている


…モゾモゾ

なにかが動いた感覚で目が覚めた。

心地良い怠さに幸せを感じる。
何年かかっただろう…
ベッドから出ようとしている背後姿を抱きしめた。

逃げられないように。
ずっと捕まえておくために。

「…おはよ、英里奈」

「起きてたの⁉︎」

「…今起きた」

驚いてそして恥ずかしがってる顔は煽ってるとしか思えない。

英里奈にいくらキスしても喉の渇きはおさまらない。
英里奈が足りない。
英里奈が欲しくてたまらない。

♪♪♪〜

電話がなってもキスをやめてあげない。

♪♪♪〜

2度目が鳴ると、英里奈に胸を叩かれた。
出ろ、ってことは分かってる、けど離れたくないことも分かってほしい。

「も、メールだって」

渋々キスをやめてスマホをのぞく。

「英里奈のお兄ちゃんから【英里奈を泣かせたらしいな】【殺す‼︎】ってきた‼︎」

一気に血の気が引く‼︎
なにそれ、どういうこと⁉︎

英里奈のマズった顔がなにかを知ってるのだろう。
これについてはあとで聞くとするか。
だけど…

「…………兄貴の誕生会行くの、やめね?」

提案してみると、英里奈が小さく吹き出した。



可愛い‼︎‼︎



その笑顔は守らなきゃいけねぇもんだな。
一生かけて守るべきもんだよな。

正巳さんに1発殴られるのはしょうがないな。

それで英里奈が手に入るならやすいもんだ。

だろ?




fin
< 42 / 43 >

この作品をシェア

pagetop