あなたで溢れている


○○スーパー"家族の日"という紙をマジマジとみる。

「ん。今更かきたいわけでもなかったんだけど…余ってて…副園長があげるっていうから」

少し頬を染めて言い訳をしている英里奈が可愛い。
思わずクククッと笑ってしまった。

家族の日なんだ、父の日とは書かないんだ。
今は配慮されてるんだな。

英里奈には父親がいなかった、英里奈が産まれる前に亡くなったと聞いている。
だから英里奈の父の日の絵はずっと正巳さんだった。




「子猫ちゃん」

ふいに呼ばれた。

「なに急に?」

「って、マユ先生が修の事を言ってた」

思わず片眉を上げ、

「やめれ〜」

と嫌がった。

「つうか。誰だっけ?マユ先生って」

「胸までカール」

「あ〜、ケバい人ね」

「っちょ‼︎」

俺が失礼なことを言ったので、心正しい英里奈が焦っているのが分かった。
< 5 / 43 >

この作品をシェア

pagetop