あなたで溢れている
バイトがなければ英里奈の勤め先まで迎えに行き、バイトがある日は帰ってきたら連絡してもらう。
お互いサッパリしてから英里奈の部屋で夕飯をとる。
濡れた髪を拭きつつ英里奈の部屋へと向かい、手早く夕飯を作ってくれる英里奈を眺めながら髪を乾かすのが習慣。
それは何よりも至福の時。
そして、夕飯を食べ終えラグに横になる。
そうすると、ほどなくして英里奈が俺の髪を梳いてくれるのだ。
コレが今の俺にはたまらなく愛おしい時間になっている。
「なに?」
「相変わらずフワフワ。気持ちいい」
英里奈が答える、
「英里奈の黒髪サラサラの方が撫でてて気持ちいい気がするけどね〜」
と内心ドキドキもんだが平気なフリして英里奈のサラサラボブをここぞとばかりに梳き返すのだ。
「…」
「…」
このまま恋人のような雰囲気に浸る。
告れたらどんなに楽だろう。
ただ、英里奈の気持ちが俺にはよく分からない。
幼馴染みとしか見れない、なんて言われたら…
泣いても泣いても足りない‼︎
考えただけでツラすぎる‼︎
それならこの関係のままで…
そんなことをなんだかんだと思っていたら、21歳まできてしまっていた。
悶々と考えていたら、ペチンとおデコに痛みがあった。