あなたで溢れている

「痛〜い、いつもいつも」

俺はガバッと起き上がりおでこをさすると、英里奈がふふっと可愛く笑った。

ずっとこんな楽しい時間が続けばいいのに…そんな思いを隠している…俺はとてもとても臆病者だ。

「あ、英里奈。今月末開けといて」

兄貴から、英里奈を連れて来い、と催促の連絡がうるさくあったので伝える。

「うんいいよ。秋(アキ)ちゃんの誕生日だね」

なにが悲しくて26歳にもなる大の男の誕生日を家族が祝わなきゃいけないのか。
納得いかない気もするが、兄貴が会いたいのは俺じゃなく英里奈なのは明白で…
何かにつけては実家に来いと連絡してくる。
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