朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「否定しません。で? どうなったの?」


「じつはそれ、マナさんが仕組んだ見合いで……」


「お、お見合いっ? まさかその相手が神宮先生だったとか言うんじゃ――」


「言うんだ。言うんだけど……あれは神宮先生であって神宮先生でないと言うか……」


「? どういうこと?」


「えとね、先生は犯罪学者なんだって。専門家として事件に関わってて、父さんや龍生さんとも知り合いなんだって。それで――笑満? 大丈夫?」
 

笑満が頭を抱えてしまった。


くそっ、先生め。笑満をこんな目にあわせやがって。


話したのは私だけど。
 

笑満がうめいた。


「い、意味がわからない……」


「だよねえ。私も未だに全部理解し切れてないもん」


「と言うことは、なに? 在義パパは神宮先生が、犯罪学者しながら教師もやってたって、知ってたの?」


「それは知ってたみたい。私と同じ学校――藤城とまではわかってなかったみたいだけど」
 

笑満はまたうなった。


笑満は在義父さんのことを、『在義パパ』と呼んでいた。

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