朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「咲桜……ただのイケメンなんて言葉はないと思うよ?」


「わかってる。私の日本語がおかしいことはわかってる。でもそれ以外に言いようがないんだ……そしてレベル高いをつけて」


「レベル高いんだ。旭葵(あさき)くんとどっちのがすき?」


「す、すき? え、基準はそれで考えるの? どっちのがカッコいいとかでなく?」


「うん」
 

笑満に真面目な顔で肯かれては考えるしかない。


先生と旭葵くんどっちのがすきって、難題過ぎる……。


…………………………………。


「………先生、かもしれない」
 

目線がうようよする。


なんかすごくすごく恥ずかしいことを言っている気がする。


「ほおー」


「……」
 

ニヤニヤしているのがわかるので、笑満の方は絶対見ない。


「あたしは夏島先輩が一番カッコいいと思うけどね!」


「カッコいいからすきなの?」
 

ふとそんなことを訊くと、笑満は目をぱちくりさせた。


そして、少しだけ唇の端が揺れた。

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