朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「わーい。先生の素顔見てやろー」


「びっくりするよー。見せてくれるかわからないけど」


「咲桜の秘密と取引で見せてもらうから」
 

笑満がめっちゃいい顔で言うので、私は軽く笑った。


「なに言ってんの」


「あ、夜々さんは? マナさんの紹介なら知ってるんでしょ?」


「それが、ねー……」
 

笑満が出した名前に、咲桜の顔色が一気に曇った。


「どした?」


「マナさんから、夜々さんのことは一個も聞いてないんだ。そんで、先生に夜々さんのことを話していいかも、一人じゃ判断つかなくて……」


「聞いてないんだ。うーん……咲桜、夜々さんのこと学校の誰にも話してないんでしょ?」


「うん……小学校のときは、お隣の家だからみんな当然のように知ってたけど、高校にもなると範囲広いし。もし夜々さんが隠していたかったら神宮先生には話せないじゃん? その逆もあるし」


「だよねぇ。そこは悩むね……」
 

板挟みだ。
 

うーんと二人して唸りつつも、いつしか馬鹿らしくなる。

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