朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】
「放課後、先輩が私のとこに来たんです。笑満が委員会の用事でいなくて、私だけ話すことになって……頼はまだ寝てたし。先生の知り合いなら連絡先交換しようよって。それで、なんか私がお弁当作ってること知ってたみたいで。どうせだったら作りに行った方が早くないか、とか、先生風邪ひいてるみたいだから、とか言われまして。お邪魔しました」
連絡なしの来訪だったから、と最後の言葉と一緒に先生の方に頭を下げると、突然背中を向けられた。
……あれ? 怒らしちゃった? まずいこと言っちゃったかな?
「あのー、本当ご飯作ったらすぐ帰るので……」
そんなに嫌だったかな……。
そう思ったとき、外で轟音が響いた。突然のことに私の肩が跳ねた。
雷だ。合わせるように、強い雨が風に吹かれて窓を叩き出した。
「降ってきたか……」
先生は窓の外を見ながら呟いた。
怒っては……ない、かな?
声の感じは普段話しているときと変わらない。
雨降って来ちゃったし、ほんと、早くご飯作って先生を寝かせて帰ろう。
休み方がわからないとかこっちが前後不覚になりそうなこと言っていたけど、寝かせちゃえばなんとかなるでしょ。