朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「何か手伝えることあるか?」


「むしろ寝ていてほしいです。休み方がわからないとかいうのなら、まず睡眠とることをおぼえてください。体調の回復には睡眠と食事」


「……眠くなんかないんだが……」


「横になるだけでもいいですから。……まさかいつも徹夜とか、人間じゃないこと言いませんよね? 何時間くらい寝てますか?」


「いつも? 帰って吹雪のとこ行って、そこで仮眠するか一度帰ってから私事ついでに寝落ちるかだから……一、二時間くらいか?」


「………」
 

だ、ダメ過ぎるこの人……。いや、超人過ぎるのか? 


学者としては有能なんだろうけど、こう、人間として改善点があり過ぎる。


そしてやっぱりまともに眠っていない。


「あの、ちゃんと布団で寝てます、よね?」


「一応あるけど、使ってない」


「いつもって、どこで寝てるんですか?」


「そこ。寝ても転がり落ちないように、足のないソファにしてある」
 

と、ローソファを示す。


……なんだろう、黙るしかない。
 

在義父さん、マナさんが私を相手にした理由が見えてきたよ……。


私なら先生を教育し直せるということでいいだろうか!


「寝てください」


「いや、だから――」

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