朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】
十分――ご飯作って、ちょうどいいくらいかな。
全く、そんな生活で身体壊さないって、先生は本当に人間なんだろうか。
先生のご家族とか全然想像出来ないよ。
………。あ、そういえばマナさんが、先生の育ての親の一人って言ってたな……。
つまり生みの親御さんはいないってこと? 先生も大変だったのかな……。
ソファの方を見ると、案の定そのまま寝転がっている。
布団か、せめて上着くらいかけようよ……。
そう思ったけど、見あたるところに布団の類はない。
もう五月も終わりだけど、先生は一応病人だ。
音を立てないように近づいて、着ていた自分のブレザーをかけてみた。
………全然反応がない。
ちゃんと寝てくれたのかな? それなら、よし。
任務を一つ達成した心地になって、またそろりとキッチンへ戻った。
先生の傍へ行ったとき、テレビの横に置時計があったのでそれで時間を確認した。
確認してから十分後、おかゆが出来たので、また先生のとこまで行って、ソファの前に膝をついて軽く肩を叩いて呼びかけた。
先生はすぐに飛び起きて――顔色を悪くさせた。
まさかの悪化⁉
「先生っ? だ、大丈夫ですか? さっきより顔色悪いですよ?」