朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「よく眠れたんならよかったです。だるさとかないですか?」


「ああ――むしろすっきりしてる」


「普段もちゃんと寝てればそんな感じなんですよ。失礼しますね」
 

ブレザーを自分の膝の上に置いて、身を乗り出して先生の額に手を当てた。


うん、さっきと違って妙な熱さはない――な?


「……先生、おでこ熱くはないんですが顔が紅いですよ? 新しい風邪でもひきましたか」


「……いや、問題ない」


「先生の通常って色々人外です。あ、違った。人並み外れてます」
 

在義父さんが、先生に常識は当てはめない方がいいって言ったけど、その度合いを大幅に上げないといけないな、これ。


「おかゆ出来ました。あと、少しおかずを作り置きしておきますので、その間に食べておいてくださいね」


「あ、ありがとう……」


「いえ」
 

立ち上がったところで、ぐいっと腕を摑まれた。


「先生?」

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