朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「先生の家にいるんだけど、今のとこ帰る道がなくなってさ。そっちはまだだと思うけどすごい雨なんだ。たぶんそっちにも雨雲行くから、父さんも気を付けて帰ってよ」


『あ、雨降ってるんだ。わかった。――え、流夜くんのとこにいるのか? うちじゃなくて?』


「うん。先生んとこ」


『なんで?』


「先生が風邪気味って聞いて、こっちに来た。酷くはならなかったみたいだけど」


『なっ……』
 

在義さん、電話の向こうで固まったようだ。


まあ、そうだよな……。


そろそろ俺の首がかかってくるか。


「水引けたら帰る。あ、ご飯置いてあるから、もし先に帰ってるようだったら食べててね」


『……咲桜、流夜くんに代わりなさい』
 

……在義さんに指名された。


……うわー、逃げてー。


華取のことがかかっているから逃げるわけねえが。

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