朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「華取とは虫除けのための婚約だけです。むしろそういうのから護ります」


『そうかい……。まあ、君を疑うわけじゃないけど、大丈夫かい? 咲桜がお邪魔する形になってしまう。病み上がりのところを』


「いえ、もう熱も引いたので、雨が止んだら送っていきます」


『それならいいんだ。よろしく頼むよ。お大事にね』


「はい。ありがとうございます」
 

電話は、華取に替わることなく切られた。


「先生、父さん、怒ってました?」
 

俺があまりに緊張した様子だったからか、華取は心配そうな顔をしている。


電話を返しつつ、説明してやる。

< 195 / 302 >

この作品をシェア

pagetop