朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「仲いいって言うか、旭葵くんて教育実習でうちの中学に来てるんですよ。だから、二堂(にどう)中学の子は顔見知りだからじゃないですかね?」


「先生とは言わないんだな?」


「それも中学んときの癖ですかね。受け持った学年の生徒が『旭葵くん』て呼んでて、つられて他の学年の子も呼び出したって感じで。だから、私が特別仲いいとかではないんですよ。昔馴染みなだけです」


「そうなのか……」
 

そういう経緯があったのか。


なんでかはわからないけど、もやっとしていたのだ。


すっきり解決、とはいかないけど、華取の最後の言葉に安心する心もあった。


「……もしかして、先生同士だとそういうところで問題あったりするんですか? 生徒と親しくし過ぎ、とか」
 

華取の声は不安になっているように聞こえる。


俺は否定した。

< 199 / 302 >

この作品をシェア

pagetop