朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「? なにがですか?」
 

ちゃんと話すためにパソコンを閉じながら言うと、意味がわからなかったのか、訊き返された。


「家でまで先生やる気はない。流夜でいい」


「……名前で呼べってことですか?」
 

華取は驚いたように目を見開いた。


「誰かに聞かれてバレるのも面倒だろ。俺は教師辞めればいいだけだけど、華取はそうはいかない。だから、呼んでみな?」


「……りゅう、や……さん?」
 

かわいい。
 

華取は気恥ずかしさからか、小さくなりながら小さな声で言った。


……だがそれでは納得できない。


「それだと落ち着かないな。呼び捨ては?」


「む、無理です! 基本的に目上の人にそういう態度とると師匠に怒られるので、無理です」
 

華取はいっぱいいっぱいの様子で言い募る。

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