朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「―――」
 

俺の申し訳ない響きの告白に、咲桜は目を見開いた。


……今までに、自分からこのことを話したのは、降渡や吹雪たち同郷以外では一人だけだ。


ニュースにもなったような事件だから、調べようとすれば簡単に調べはつく。


その一人以外は、大体向こうが調べて知ったという感じだ。


「犯人は捕まってない。それが、俺が警察に関わるようになったきっかけだ。……大丈夫か?」
 

咲桜の顔色が悪い。


いや……こんな話を聞いて、気分のよくなる者はいないだろう。


やはり話すには焦り過ぎたか。


……あまりに咲桜が真剣に踏み込んでくるから、自分もその距離をうまく摑めないでいた。


余計に心を重くしてしまっただろうか――


「っ、咲桜?」
 

首筋になにかが巻き付いて、正面から衝撃を受けた。
 

一瞬遅れて理解する。咲桜が抱き付いて来たのだと。

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