朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「じゃあそれはあとで考察しよう。お母さんのことを話して、いつの間にか寝ちゃった、ということでいいの?」


「うん。いつの間にか……」
 

しゅかああっと、頬が一気に熱くなった。


い、言っていいのかな、これ……言うの恥ずかしいわっ!


「咲桜? 話せるね?」
 

笑満に笑顔で脅された。
 

言うしかないのか……。


笑満に隠し事ってのやだしなあ。
 

腹を決めても言うのには勇気がいって、恥ずかしさ対策に顔を手で覆ってから話した。


「………流夜くんに抱きしめられました……」


「きゃーっ!」
 

笑満の黄色い悲鳴が聞こえて、耳もふさぎたくなった。


いや、笑満の口を塞ぐべき? けれど私の腕は四本ない。


顔を隠すだけで精いっぱいだ。


「それはなに? 流夜くんから? 咲桜から?」

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