朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「流夜くんもそうだと思ったんじゃない? 咲桜からプロポーズされたって」


「えええっ⁉」


「だって普通そうでしょ。他人が家族になるって言ったら、結婚しかないでしょ。咲桜、どういうつもりでそう言ったの?」


「………」


「咲桜」


「ただ……一緒にいる、と」


「……あー、可愛いねー咲桜は」
 

笑満が横から抱き付いて、腕を伸ばしてくしゃくしゃと私の髪を掻き混ぜた。


「まー、流夜くんが笑ってくれてる間なら、危ないことにはならないでしょう。しばらく流夜くんに弄ばれてなさい」


「言い方非道いな!」


「なに騒いでるのー?」


「え、あっ朝間(あさま)先生」


「二人はまだ帰らないの?」
 

ひょこっと姿を見せたのは、白衣姿の養護教諭だった。


ふわふわのセミロングの髪に可愛い顔立ち、小柄な先生は女子にも男子にも人気だ。

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