朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「咲桜の恋愛相談中でーす」


「ちょ、笑満!」


「あら」
 

口元に手を当てておどける様子に、咲桜は一気に恥ずかしくなった。


「全然ちっともそんなんじゃないですから! 笑満、帰るよ!」


「あはは。咲桜面白―い。じゃあねー、先生」


「気を付けてねー」
 

ぶんぶん手を振る笑満の腕を引き寄せる。


「笑満! ばれたらどうすんの!」


「ばれないって。あたし、咲桜と話すときは『流夜くん』て呼んでるでしょ? そういう小さなとこ気を付けてれば、案外大丈夫だよ」


「あ……そういえば」
 

そういう意味だったのか。


ただの嫌がらせか、からかいだと思っていた。

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