朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】
ドキッとした。
頼には話していないけど、実は大きなことがあったからだ。
笑満といい、鋭いな。
「なんか変に見える?」
「変って言うか……まあ、いいや」
喋るのが面倒だとでも言うように、頼は欠伸をした。
相変わらずの頼のローテンション。
……頼は、このテンションの時の方が問題ないから困るんだよなあ。
「なんかあったら言えよー」
「なんかあったらね」
ばいばいーと、頼の家との分かれ道で手を振る。
在義父さんは、今日遅くなると言っていた。
もっとも、その予定があてになることはろくにないのだけど。