朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「………」
 

はたはたと涙が落ちた。


「流夜くんが泣くの⁉」


「え?」
 

俺が手紙から顔をあげると、在義さんが泡喰っていた。


「ま、まさかそこまでとは思わなくて……すまない」


「なにがですか?」
 

在義さんが慌てる意味がわからず問うと、背後から手刀を喰らった。


「てめえの現状把握ぐらいしろや」
 

いつの間にいたのか、龍さんだった。


促されて頬に手を当てると、何故か濡れていた。……あれ?


「うあっ⁉ すみませんっ、……なんか……」


「いや、流夜くんが謝ることじゃない」


「ああ、桃子のそれ、見せたのか」
 

慌てて涙を拭っていると、龍さんの顔つきが変わった。


「咲桜が自分から、話したみたいだから」

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