朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「だーめ」


「だって……どうしようもないじゃん……。私がたくさんの人の幸せ、壊してるのは本当なんだから」
 

在義父さんの幸せを、夜々さんの幸せを、桃子母さんの幸せを――。
 

そう、呟く咲桜。
 

……咲桜は、壊したと思っているのか。


その上でいつも、あんな笑顔を振りまいて……。


「それも、責任か?」


「……うん。でも、こればっかりはどうすれば責任とれるか、わかんない……」


そういうところに引け目を、負い目を感じているのか。


「なら咲桜、俺に対しての責任もとってもらおうか」


「また⁉ 私、流夜くんにほんとなにしたの⁉」


「あ、いや。昨日のは責任取るのは俺の方だから。そこは混同しなくていい」


「流夜くんはなにしたの⁉」


「うん、だからそのうちまたしてやるから」


「今してよ! じゃないと考え込んで眠れないよ!」


「あー、今は無理だなー。朝間先生の瞳が光ってる」


「なんで夜々さん⁉ てか――今度は私なにした⁉」


「俺を幸せにした」

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