朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】
「じゃなくて。話したいこととか、泣きたいこととか、あったらおいで。さっきの距離を俺にくれるんなら、なんだって聞いてやるから」
「………」
ぽかんとした咲桜の顔。
しばし真正面から見つめていると、急に火を噴いたみたいに紅くなった。
「あ、ありがとう……」
消え入りそうな声で礼を言われ、いつものように咲桜の頭を撫でた。
恋人が出来るまで。
この距離に、誰も近づけないでほしいと思ってしまうのは……少々危ないだろうか。