朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「マナさんが言うには、結果的に私と先生の双方で利害一致してますから、私もそれで納得しましたし。……心配なのは、この話が先生の結婚とかの障害にならないか、なんですけど……」
 

見上げると、先生は眉根を寄せた。


……不愉快にさせてしまったかな。


ちょっと不安に思っていると、先生は断言した。


「ならない。そういう面倒なことに自分から踏み入る気はないからな。だから俺の方の心配はしなくていい」
 

結婚を面倒と言い切った。


……ふーん? 彼女とかいないのかな。


あ、いたらマナさんはこんなことは頼まないか。


「そうですか? なら、いいんですけど」
 

私は少しほっとしたように息を吐いた。


……ん? 何にほっとしただろ。


「あ、あと、マナさんから先生のスマホの番号とか教えてもらったんですけど、大丈夫ですか?」


「そのくらい構わない。愛子対策で連絡も必要になるだろうしな」
 

愛子対策。


その言い方に、少し笑ってしまった。


マナさんの破壊力はよく知っておいでのようだ。


「お口に合うといいんですけど」

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