朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「頼は駄目です。あいつは別の意味で問題がありますから……」
 

華取は厳しい口調で言って、頭痛でも抱えたような顔をした。


あいつは基本いいヤツなんだけど……と呟いている。


日義に何かあるのだろうか。
 

そんなことを思いながらも、深くは突っ込まなかった。


俺の側にだって、どれだけ親しくても話したくない奴らはいる。


……あいつらに関しては、秘密にしていようが勝手に知られているので、秘密にすることも話すことも意味がないのだが。


「教師には秘密にしてもらいとこなんだが……」


「あっ、そうですよね。大丈夫です、先生には言いません」
 

華取が、はっと顔をあげた。
 

……もしかしたら話しておきたい教師がいたのか、弾かれたような反応だった。


……何故だか思考の一端がもやっとした。


「先生の方は? 私が知っている人で話しておく人とかいます?」


「いや……俺の方は誰にも言わないことにする。話すとめんどくさい奴らばっかりだから」
 

主に、幼馴染二名のことなのだが。

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