朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】
先生の方から私の好みを訊いて来たから、それに乗じて訊いておいたら今後の参考に出来たかもしれない。
残念なことをした。
……けど先生、ほんとにいいのかな? マナさんのやったこと、乗っちゃって……。
先生は何度も気にしなくていいと言っていたけど、生徒と個人的に親しくなっていいのだろうか。
……親しく? ん? する必要もあるのかな?
先生にお弁当を持って行くのはマナさんからの頼みだから、当然請ける。
けどそれ以上があるのだろうか。そもそも、それ以上ってどんな状態?
………。
考えてみたけど、わからなかった。
んー……また父さんが先生を家に連れてくる、とか?
そのくらいなら、在義父さんの同僚の人と変わらない状態だ。
「そのくらいでいいのかな?」
それだけじゃ足りない気がする。
頭の中――心の中? で反論してしまった。
一度頭を振った。危ない。誰に聞かれるかわからないんだし。