朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


歩く地雷原こと春芽さんをして、『やろうと思えばなんでも出来る』と言わしめさせるうちの一人のくせに、自分を気にかけること、手をかけることをしない。


心底自分をどうでもいいと思っている奴だ。


そんなんだからよく風邪も引くんだよ。


なんでかその日のうちに治っちまう体質? だから、全然気にしてねえみたいだけど。


熱あろうが何だろうが、毎晩春芽のいる警察署へ行っちまうしな。


自己管理に関しては、八つも年下の俺の方がてめえに気をかけている自覚すらあるくらいだ。


……そんなだから、華取さんが手を廻したとかそーいう理由なら納得だけどな。
 

そうならそうと言ってくれればいいものを。


ちゃんとした理由があるなら誰に言うこともない。


からかうために雲居や春芽には言うけど。


「……美味かったなー」
 

昨日のめっちゃうめえ夕飯を思い出した。


せっかく旧館まで行ったんだから、昼飯もぶんどってくればよかったなー。

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