可愛い友達
あのさ、俺この際だから言わせてもらうわ。
は?
ハル、俺の彼女に…なろう?
あ?
なって…ください…まし?
…アホ…め。
もっと早く…言ってよね…。
また、泣けてくる。
だな…。
あの子にも、いいだけ怒られた。
え?
ホッペを指して、しゅんとするユウキ。
ここ…ぶたれた…。
さゆが!?
うん。もう、すごい剣幕で。
ハルちゃんに、なんてこと言うの!
ハルちゃんは、誰よりも可愛い女の子だよ!
臆病で、自分よりも相手のことを大事にする、
優しい子だよ!ひどい!
…みたいなこと言ってた。
ご丁寧に真似してみせる…。
さゆ…。
だから、俺も、焦って…
ハルが好きなんだって説明したんだけど…。
さゆ、何て?
なんでさっさと伝えないんだ!って
余計…怒られた…。
ぷっ。
…笑いごとじゃないよ…。
と、ため息ついて。
ハルちゃんに、謝るまで許さないから!って
鬼のようだったよ…。
ごめん…ハル…。ほんとに…。
ユウキの話を聞いてるうちに…
みじめな自分も、情けない自分も…
みんな、どっかへ消えていった。
ぶたれたという、左のホッペに手を当てると。
ちょっと、ビクッとしてあたしを見た。
まだ、痛い?
うん。と、答えるユウキの声の中に、
違う声が聞こえた。
キスして欲しいんでしょ?
え?さすが、ハル!
やっぱり、俺たち心通じてるよな!と、
ニコニコしだすユウキが、可愛くて。
ペチッと叩いて、ばーか。と、言った。
そ、そりゃないよ…ハル。
帰ったら、さゆに電話しなきゃ…。
きっと、心配してる…。
ごめんねも、ありがとうも…
いっぱい言おう。うん。
よし。と、歩き出すあたしの後ろから、
俺…返事もらってないけど?と、
声がする。
あ…。
あ、じゃない。
くるっと、後ろを向かせられる。
俺のこと、好き?
うん…だいすきだよ。
んー、かわい。
抱きしめていい?
…聞くなバカ。
…かわいくない…。と、笑いながら。
ユウキは、あたしを…腕の中におさめた。