可愛い友達
新入部員は、結構な人数だったから。
一緒になれたのは、本当に偶然だった。
あたしは、顔に似合わずソプラノで。
コーラス担当に割り振られた。
ユウキは、リードボーカル。
歌い出した瞬間に、心を持っていかれた。
好きだなぁ…。この声。
ほんとに楽しそうに、歌うユウキ。
たまに、歌詞間違えて、
うーわ。すんません。と、しょげる頭の
角度さえ、キュンとする。
背が高いあたしより、もっとおっきいユウキ。
ハモりが入る瞬間に、必ず目が合う。
その後の…ハモリが、ピッタリ合う感じ…。
心が通じてるって…思い込んでしまうほど、
気が合う男のコ。
仲間として、一緒にいられるのが楽しすぎて。
毎日が、幸せだった。
メンバーは、みんなあたしのことをハルと
呼ぶ。
他のメンバーの女のコは、ちゃん付けなのに
なんで、あたしだけ?と、思っていたけど。
ユウキに、ハル!と、呼ばれる嬉しさって
言ったら…。
特別な存在になった気分がして。
ハルと呼ばれるたびに、見えないシッポを
振っている自分が、恥ずかしかった。
メンバー同士、どんどん仲良くなって。
練習帰りに、ご飯食べて帰ったり、
カラオケ行って、歌いまくったり。
あたしのこと、女のコ扱いはしないけど…。
ハルとユウキは、いつも一緒だなと、
からかわれても、ユウキは嫌な顔ひとつ
しないで、ハル!と、隣におきたがった。
好きにならない方が…嘘だよ…。