高桐先生はビターが嫌い。
あたしがそう言って笑うと、ミキヤ君が、
「っつか、君ら陽太に集中しすぎだから!」
と、すかさず突っ込む。
だって、仕方ないじゃん。こんなに純粋で、感情が表に出る人って、見た事ないから。
そのあとはあたし達女子の自己紹介に入ると、高桐くんは少し安堵した顔をした。
…緊張しいなんだ。かわいいなぁ。
そう思いながら、やがてあたしも“アイリ”という自己紹介も終えて、
本当は17歳だけど、20歳と嘘を吐いた。
ハタチとか大人だ。羨ましい。だってここは皆あたし以外本当に20歳以上、なんだから。
…………
しばらくして合コンが進むなか、皆はそれぞれに好きな歌を歌ったりデュエットをしたりして楽しんでいた。
時間が経つにつれてカップルができそうになるなか、さっきまでずっとしょうこさんと話していた高桐くんが、不意にあたしに声をかけてきた。
「あれ、アイリちゃんジュース無いね。なんか飲む?」
「うーん…そだね。淹れにいこうかな」
「んじゃあ俺も一緒に行くよ」
このカラオケはドリンク飲み放題になっており、ドリンクバーはロビーに設置してある。
あたしと高桐くん以外はみんなお酒を飲んでいるけどあたし達二人は飲んでいないのだ。
しょうこさんとのんのんさんがデュエットをしている隙に、あたしと高桐くんはドリンクバーに向かった。