高桐先生はビターが嫌い。
2回目の出会い。

******

合コンから、約一週間後。

もう既に春休みに突入しているおだやかな朝。

あたしは、隣の部屋から聞こえる物音で不意に目を覚ました。



「…?」



がちゃがちゃ、ばたん。

どんっ、どか!


…うるっさいなぁ。

静かにしてよ…。


そう思いながら、寝返りを打って、また目を瞑る。

けど、それでも音は止まらないから。あたしは仕方なく、ベッドから起き上がった。

…最悪な目覚めだ。せっかくの春休みなのに。

これじゃあ満足に眠れない…。


と、眠気眼の目を擦って、スマホで時間を確認する。

…時刻は、まだ朝の8時過ぎ…。

まだ全っ然寝ていられる時間じゃん!


あたしはため息交じりにベッドから離れると、キッチンの冷蔵庫に向かった。


…けど、よくよく考えたら、あたしはこの新しい高級マンションの最上階に独り暮らし。

つまり、最上階にはあたし以外他に住人はまだいないはず。

それにふと気が付いたあたしは、冷たいお茶をコップに注ぎながら、ようやく気が付いた。


まさか…引っ越し!?


それに気が付くと、早速、ベランダに出て確認をしようとした。

しかし…



「…!」



その時。

そんなあたしの行動を引き留めるかのように、次の瞬間、玄関でチャイムが鳴り響いた。



「…っ、」



これが、最悪の「再会」になるとも知らずに。
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