高桐先生はビターが嫌い。
真実のマトリョーシカ。
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憧れの、広い遊園地の中。
空は清々しいくらいの青天。
その下で、長めの先生の話を聴く生徒達。
そんな先生の話を聴いているフリをして、こっそりと高桐先生に目を遣るあたし。
視線の先の高桐先生は、眩しそうな目をして生徒達のことを眺めている。
今日は、春の遠足。
大きなバスに乗って、数時間揺られて。
着いた先が、実はずっと楽しみにしていたこの遊園地。
あたしの視線の先の高桐先生が、隣にいる女の先生と静かに何かを話している。
何かの打ち合わせ…?
2人のその様子に首を傾げていたら、そのうちに2人は静かに笑い合って…。
「…?」
…何、話してるんだろ…。
そう思っていると…
「ねーえー、行くよ日向ー!」
「!」
その時。
高桐先生に集中していたら、いつのまにか説明は終わっていたようで、あたしはふと市川にそう呼ばれた。
「…あ、うん!」
……先生の話、全然聴いてなかったけど。
あたしは少しビックリしつつ、遊園地の入り口に待つ市川に駆け寄る。
でも…
「…ねぇ、本当にいいの?」
「何が?」
「市川、他の友達と回らなくて。誘われてたじゃん」
…あたしは少し気になっていたことを、市川に言ってみた。
だって市川は、あたしよりも友達が多いのに。
けど市川は、そんなあたしに笑って言う。
「…ああー。いいのいいの!あたしが決めたんだし」
「けど、」
「それに、」
「?」
「なんか、日向と一緒にいると、なんとなーく高桐先生とも近くにいれるような気がして」