高桐先生はビターが嫌い。

「…っ…」



高桐先生を「好き」な感情がなんだか溢れだしてきて、あたしは思わず高桐先生から視線を外す。

どうしよう…ドキドキがおさまってくれない。

そう思いながら、ジュースを飲むことでなんとか誤魔化して。

チラチラと、その間も高桐先生に目を遣れば。

そのうちに、自分のぶんのジュースを飲み終わった高桐先生が言う。



「日向さんがジュース飲み終わったら、どこか行く?」

「!」

「あ、っつってもあの2人のこと待ってなきゃいけないから、ほんとその辺歩くだけだけど」



そう言って、「お土産でも見に行こうか」なんて高桐先生が誘ってくれるから。

あたしは嬉しくなって、すぐに頷く。

早く、ジュース飲まなきゃ。

そう思って急いで飲み干そうとするあたしを見て、高桐先生が「ゆっくりでいいよ」なんて笑う。

…でも、そうは言ってられない。

だってこの時間が、どれくらいあるのか…考えただけで、ちょっと寂しくもあるから。



「っ、先生、行きましょ!」

「え、もういいの?」

「ハイ!ってか、早くしないと時間なくなっちゃいますよ~」



あたしは紙コップをゴミ箱に捨てた後、そう言って急いで近くのショップへと高桐先生を連れて行く。

そのお店は、お土産のお菓子やキーホルダー、文房具におもちゃ…などたくさんの商品が並んだ広めのお店だ。

市川とはまだ入っていなかったけど、何気にこのお店に入るのもあたしは楽しみにしていた。

まさか、高桐先生と一緒に入れるなんて思ってもみなかったけど。



「!…あ、先生コレかわいい!」



そしてその直後、あたしはお店に入るなり中を見渡すと、早速あるかわいい商品を見つけた。

…キャラクターの耳がついたかわいいカチューシャだ。

あたしがその商品を手にとって言うと、あたしの隣にいる高桐先生が言う。



「日向さんなら似合うんじゃない?」
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