高桐先生はビターが嫌い。
…………



「楽しかったね」

「…うん」

「あ、ジェットコースターね、やっぱ最高だったよ。杉野先生も絶叫系大好きみたいでさ、相手先生なのにはしゃいじゃった」

「…、」



それから数時間後、夕方の帰り道。

再びバスに乗って、遊園地から学校まで戻ってきたあたし達は、さっき学校で解散をした。

で、今はその帰り道。

さっきから市川が、楽しそうに、遊園地でのことを話してくる。

あたしが高桐先生と2人きりになっちゃったから…とか考えていたけれど、市川はよほど杉野先生と気が合ったのか一緒に楽しむことができたらしい。

でも、一方のあたしは高桐先生のことが頭からどうしても離れなくて。

さっき抱きしめられた時のことを思い出しては、また顔が熱くなる。



「…~っ、」

「高桐先生とも一緒に写真撮れてさ」

「!」

「これあたし、一生大事にする。今日はありがとう、日向」

「…、」

「日向のおかげで楽しめたよ」



そう言って、振り向いては微笑みかけられた夕焼け。

「よかったね」と。その言葉に、あたしも笑ってあげられたら…よかったんだと思う。

きっと、何も知らないフリをしてそうしたのが正解だった。

だけど、あたしは…

もう我慢ができなくて、目の前の市川に…言ってしまった。



「……ねぇ、市川」

「うん?あ、日向は高桐先生といて、どうだった?」

「その話、なんだけど」

「?」

「今から…問題発言、してもいい?」



あたしはそう言うと、不安そうに、首を傾げる市川に…



「実は…」



口を開いて、“真実”を話し出した…。











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