高桐先生はビターが嫌い。
壊れかける友情。
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「ねぇ、なんかつまんなくない?」
春の教室。
市川の背中を眺めながら、あたしは不意に仲間達にそう言った。
あたしの名前は、北島アイ。
高校からずっと、市川と仲良くつるんでいた仲間だ。
それなのに…
「市川。今までずっと日向に嫌がらせばっかしてきたのにさ、最近じゃ手のひら返したように仲良くしだして。意味がわかんない」
あたしはそう言うと、仲間達と一緒に食べているチョコレートを、一口、口に含む。
するとそんなあたしの言葉に、それを聞いていた仲間達が言う。
「確かに。何の予兆もなくね。変だよね」
「日向に何か言われたとか?」
「何かって何」
「そりゃあ……何かでしょ」
仲間達は口々にそう言うと、あたしと同様…市川の方を見遣る。
当の本人である市川は、今もやっぱり日向と楽しそうに教室の隅で雑談をしている。
…アイツへの嫌がらせなんて、市川が一番やる気になってたのにな。
まぁ…その理由だって、あたしらは実は未だに知らないわけだけど。
しかしあたしがそんなことを思っていると、不意に仲間の一人が口を開いて言った。
「…あー、でもそれって、高桐先生が関係あるのかもよ?」
「え?高桐?何で」
「だってこの前呼び出しくらってたじゃん。えっと…ほら、日向の制服を市川がハサミで切り刻んだ日!」
「!…ああ~」
「確か、それ以来何も言わなくなったよね、市川」
そう言うと、「高桐先生が原因じゃね?」と。
あたしを見遣るそいつ。
「で、どうするよ?」って聞くから、あたしは口を開いて…